新型コロナウイルス感染症 中等症2にかかった記録

(2021/9/30作成、2022/1/28最終更新=完治後のこと

本記事は、新型コロナウイルス感染症の第5波ピーク時に感染、中等症2まで発症し入院治療を受けた本人による罹患の記録である。

本人の心境や行動は青で、行政サービス等に関する内容は紫で、医療(診断や処方や治療)に関する内容は緑で記載している。

主に入院中に書いた文章をそのまま載せているため、第5波のピークアウトや新しい治療方法の確立によって当時から状況が変わっている部分がある(本記事では中等症で自宅療養しているが、中等症で即入院できるケースが増えた等)が、当時の文章をそのまま残す。

感染爆発といわれるあの時期に、行政と医療機関間の迅速で的確な連携によって救っていただいた。本文でも触れているがすべての関係者の皆様に感謝を申し上げたい。

感染前状況

本人情報
神奈川県川崎市・42歳・男性・ワクチン未接種・基礎疾患なし・喫煙なし・肥満(BMI≒30)・かかりつけ医なし・1人暮らし

感染前10日間 8/7(土)〜8/16(月) の外出状況
電車を使った出勤=1回、電車を使った買物=2回、1人外食=6日・計8回

発症〜PCR検査〜陽性判定 8/17〜8/18

8/17(火)day1〈発症〉
未明から倦怠感、39℃台の発熱、急な寒気。
まさかコロナか?それとも昔よくかかっていた扁桃炎か?と半々くらいに疑う。

・朝: 勤務先へ仕事(自宅でリモート勤務)を休む旨とPCR検査を受ける旨の連絡。自宅にあった解熱剤(ロキソニンS)で解熱。

・15:00 最寄駅前で看板を見たことがあった民営のPCR検査センターへ行って検査。唾液を提出し完了。即日検査を申し込んだため結果は翌日12時までにショートメール(SMS)で通知される。

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民営のPCR検査センター

 

8/18(水)day2〈軽症〉
1日中ベッドから起きられない辛さ。解熱剤で一時的に解熱するが薬の効き目が切れるとすぐ38℃台に戻る。倦怠感があり全身が痛い。

・3:00 PCR検査センターからSMS。陽性判定。


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PCR検査結果の通知

・8:30 勤務先へ陽性の連絡。

・10:30 PCR検査センターから電話着信。
 「PCR検査センターから県へ陽性の報告をする。今日か明日に県から本人へ電話が来るので出るように。」

・23:00 家族、伯母、従姉弟たちのLINEグループへ陽性の連絡。

感染後の病状の経過について

感染が確定したこの日は、ベッドの中でスマホを覗いては病状に関する記事を読んだ。まず知ったのは、コロナは発症7日目頃に、軽症から治る(8割)か中等症へ進む(2割)かの分岐点があること。

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新型コロナの症状経過(下記記事から引用)

発症してから慌てても仕方がなく、7日後の運命を待つしかない、精神的に気持ちの悪い病気だと思った。
確率的には治る前提で考えようと思いつつ、年齢性別と体重から一定の重症化リスクを受け入れて、万が一長引いた時のために仕事等も整理しておこうと、熱で働かない頭で考えていた。

news.yahoo.co.jp

Twitter等でバズっていたスライドを妹が送ってきた。中等症は「多くの人にとって今までで一番苦しい」状態。できれば経験したくないと思った。

新型コロナの症状イメージ

行政や医療関係者は、軽症、中等症、重症を「酸素飽和度」という数値の値で区別する。96%以上が軽症で、95〜94%が中等症1。中等症2に該当する93%以下は明らかな肺機能の異常で、本来なら「医者が慌てる数字」だといわれる。
酸素飽和度の数値は、この日から治療が完了するまで自分の病状把握の拠り所になり、医療スタッフへの病状報告の拠り所となった。コロナでは全てのジャッジが酸素飽和度を基準に行われる、と言っていいくらい重要な数値になる。

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新型コロナの重症度分類と酸素飽和度

7月までは中等症1も2も「原則入院」だったが、8月2日に政府が「感染急増地域では、入院は重症者に限る、中等症は原則自宅療養」の方針を打ち出し、中等症1も2も「原則自宅待機」となった。
都市部を中心に多くの中等症患者が自宅療養をすることになった。

www.asahi.com

軽症(全然軽くない):自宅療養 8/19〜8/23

8/19(木) day3〈軽症〉
発熱、倦怠感は変わらず。全身の筋肉痛とともに頭痛が酷くなってきた。

・13:00 県から電話着信。最初の連絡。

感染後最初の県からの連絡内容について

第5波ピークで県の感染者対応も逼迫していた時期。
電話の方の声の印象は年配男性で、滑舌よく流暢に以下の説明をしてくれた。
 ・発症10日目の8/27まで自宅隔離。
 ・症状がなければ検査なし連絡なしで8/28に隔離解除。特に報告不要で外出してよい。

まずここまで聞いて、そんなオートマチックなのか!と驚き、そのくらいしないと捌けないよなと納得する。以降は自宅隔離中の案内が続く。

 ・Webで「神奈川療養サポート」と検索しLINE登録を。LINEで毎朝、体調を質問するので回答して。
 ・明日頃に県からパルスオキシメーターを届ける。玄関を開けずに受け取って。
 ・希望者に無料で宅食サービスを提供する。玄関を開けずに受け取って。
 ・希望があれば無料で薬の処方が可能。
 ・不明点や要望は「県療養サポート窓口(9:00-17:00)」へ電話して。
 ・酸素飽和度が93%以下になったり苦しくなったら「神奈川県コロナ119番(24時間受付)」へ電話して。

身体を気遣うような言葉はなく少し拍子抜け。考えてみれば、感染者の多数が無症状者や軽症(本当に軽い)者なので、初回がこのような連絡になるのは当然か。

感染前の行動履歴や濃厚接触者などについて色々聞かれるのかと思っていたが、それらには一切触れられずに電話は終わった。

13:30 LINEの「神奈川療養サポート」に初期情報登録。

8/20(金) day4〈軽症〉
( 8:00のLINE回答値 = 息苦しさ無し / 37.8℃ )
変わらず発熱、倦怠感、全身の筋肉痛、頭痛。

・8:00 LINEの「神奈川療養サポート」からチャットボットで朝の体調確認。初回答。

県のLINEによる朝体調チェックについて

初期登録を済ませておくと、毎朝8:00にLINEで自動的に質問が来る。
質問項目は
 ・息が苦しいですか?
 ・現在の体温を選択してください。
 ・パルスオキシメーターはありますか?
 ・(ある場合)現在の酸素飽和度を選択してください。
の4点(体調の確認は3点)。

まだ先の話だが、酸素飽和度が落ちた発症8日目に、このLINEの回答をきっかけに保健所から電話連絡がきて、往診、入院調整へとつながっていく。

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LINE「神奈川療養サポート」

・10:30〜17:00 解熱剤で熱を下げて月曜以来の勤務(自宅からリモートでデスクワーク)。今週中に片付けるべき最低限の作業を、休み休みしながら実施。

・日中: 「県療養サポート窓口」へ電話で薬の処方依頼。回答は「折り返す」。

県への薬の処方依頼について

感染後最初の県からの連絡で「希望があれば無料で薬の処方が可能」と言われたため、自宅の薬が切れる前に欲しいと思い、日中に「県療養サポート窓口」へ電話をした。
回答は「担当者から折り返す。折り返しは明日になるかもしれない」。

その後、9/24の往診紹介まで折り返しはなく、こちらからも督促せず、薬は自前(親への購入発送依頼)で確保した。県の窓口が逼迫している時期にしつこく要求して医療機関の負担を増やしたくないという気持ちがあった。だから本件の対応に関する不満は全くない。

ただ、薬を処方してもらえるということは、1. 少なくとも電話診療で医師と繋がれる、2. 市販薬よりも強力な薬を入手できる、というメリットがある(後日往診を受けて初めてその有難さに気づいた)。
だから今後罹患した方は手元に市販薬があったとしても、早めに処方を依頼した方がよいと思う。窓口の負担は当事者の調整に委ねるものであって、患者が気を遣うべきことではない。と今は思う。

・19:30 パルスオキシメーターが置き配にて到着。これが手元に来ただけで安心感が違う。以降、治療完了まで手放せない存在となる。

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県から貸与のパルスオキシメーター

8/21(土) day5〈軽症〉
( 8:00のLINE回答値 = 息苦しさ無し / 37.6℃ / 酸素飽和度 97% )
変わらず発熱、倦怠感、全身の筋肉痛、頭痛。

・妹と従姉から救援物資が到着。

自宅療養者への差し入れについて

オーダーするまでもなく、妹と従姉から相次いで救援物資が届いた。真にありがとうございましたm(_ _)m


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救援物資たち

何が良いかは人にも症状にもよると思うが、軽症時(全然軽くない)の自分の場合はウィダーinゼリーと経口補水液アクエリアスが有難かった。他に欲しいと思ったのはバナナとヨーグルト。ビタミン等の栄養摂取だけが気になって。

身体は食事を受け付けずゼリーを薬を飲むために口に入れる程度。ただ、水分だけはアクエリアスを水で薄めてよく飲んだ。1日2〜3リットルは飲んだと思う。

自分の場合は体重があるため栄養が「体内で間に合っていた」から水分のみの摂取で済んだが、人によっては食事も大事にすべきだろう。ただ、後日の保健師さんとの会話や入院直後のことから考えても、この時期の優先順位は強いて言えば水分補給>栄養補給の順なのだと思う。

ほか、異なる症状の経験者へのインタビュー記事があったので紹介する。

www.nikkan-gendai.com

www.nikkan-gendai.com

・県から最初の配食が到着。

県からの配食について

県の配食は、最初に常温食(10日分の主食と1日分のおかず)を1回、以降2日に1回冷凍食(6食=2日分のおかず)を配送してくれる。


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県からの配食

常温食は、災害用の県の備蓄を消費期限が近い順に取り崩しているかもしれない。

最初の常温食が届いたのは隔離(県に陽性登録された8/18)から4日目。感染爆発のピーク時でなければもう少し早く届く設計だと思う。

無症状や軽症(本当に軽い)の方には自宅隔離中に有難いサービスだろう。軽症(全然軽くない)だった自分は1食だけしか食べられなかった。残りは退院後に少しずついただいている。

8/22(日) day6〈軽症〉
( 8:00のLINE回答値 = 息苦しさ無し / 39.3℃ / 酸素飽和度 95% )
発熱、倦怠感、筋肉痛や頭痛に代わって咳が出るように。

・母へ市販薬の購入と宅配を依頼(Amazonで買うと2日後の到着と出たため、翌日着の宅配を依頼)

8/23(月) day7〈軽症?中等症?〉
( 8:00のLINE回答値 = 息苦しさ無し / 38.1℃ / 酸素飽和度 92%
コロナ「分岐点」の発症7日目。残念ながら酸素飽和度が低下し「中等症」への進行を疑う。
発熱、倦怠感、咳。熱は最高39.5℃。

・8:30 初めて酸素飽和度が93%以下になったためルール通りに「神奈川県コロナ119番(24時間受付)」へ電話。保健師からの折り返し待ちに。

・10:00 母へ依頼した解熱剤(バファリンプレミアム)と咳止め(ヒストミンせき止めDX)が到着。バナナとヨーグルトも同梱m(_ _)m

・10:30 保健所の保健師から折り返し着信。まだ息苦しさの自覚はないと伝えると、経過観察の方針に。服薬について保健師からアドバイスあり。

服薬に関する保健師からのアドバイスについて

市販薬の用法をしっかり守っていた私は、1日3回が上限の解熱剤を(3時間程度しか効かないため)1日のどことどことどこで使うか頭を悩ませたり、食後薬だけど食事の気が進まないから薬を飲むタイミングも遅れてしまうという悩みを看護師へ相談した。

回答は以下の通り。

・緊急時なので用法を守るより身体を守る方が優先。
・今は免疫を高めることが重要。免疫を高めるために解熱が必要。
・熱が上がってきたらすぐに飲んでよい。食事が無理なら食後でなくてもよい。
・特にあなたは男性で体重もあるため、1日の用量以上飲んでも平気である。

これで薬を躊躇なく飲めるようになり、少し気が楽になった。

・15:00 配食2回目(冷凍1回目)が到着。

・20:30 勤務先へ病状報告。発症7日目なので軽症から快癒する場合はそろそろ復帰時期だが、中等症が疑われるため回復が大きく延びそうな旨を報告。

急変:自宅療養〜往診〜入院 8/24〜8/26

8/24(火) day8〈中等症2〉
( 8:00のLINE回答値 = 息苦しさ無し / 39.3℃ / 酸素飽和度 92% )
発熱、倦怠感、咳。

・12:30 保健所から電話着信。朝のLINEの回答値を受け病状確認、Aクリニックからの往診を調整。

県へのLINE体調回答と保健所、医療機関の迅速な連携について

朝のLINEの回答をきっかけに、保健所の保健師さんから電話が来た。
内容は「今朝のLINEの回答で、2日続けて体温が高く酸素飽和度が低かったので、話を聞かせてほしい」とうものだった。
毎日の登録値をチェックしてもらえていることが分かってまず安心した。あとは発症から8日目でちょうど重症化のケアが必要なタイミングだったというのもあるかもしれない。

この保健師さんは病状だけでなく療養環境を親身に細かく聞いてくださった。発症してからの症状、PCR検査を医療機関で受けたわけではないこと、かかりつけ医がいないこと、飲食の状況、今飲んでいる薬、など。

ひと通り話を聞いた保健師さんは「かかりつけ医がないのであれば、近くで訪問診療をしているAクリニックという医療機関があるので紹介したい。Aクリニックへ自宅への往診を依頼したい。今日の午後に往診できそうなら依頼をかけてもよいか。」と提案してくれた。
急な話だと感じたがもちろん往診を依頼した。

行政が、情報提供や助言に留まらずここまで提案や調整を行ってくれるのは本当に有難い。ここから翌々日の入院に至るまで、私は行政と医療機関間のスムーズな連携によって救われていく。

振返れば、PCR検査以降本人はすべて受け身で、行政から情報提供、物や食料の受取り、体調の登録、保健師の問診などを行ってきた。もう至れり尽くせりだ。
普段の報道で行政や医療機関の体制構築や業務逼迫について見聞きはするが、自分が当事者になって初めて、ここまで高度なサービスが仕組みとして整えられていることを知り、有難さが実感できた。

特に感染爆発のピーク期にも関わらず、タイミングを漏らさず、迅速で的確な連携、診断、治療をしていただけたことに本当に感謝している。

 

自宅療養者の個人情報の行政機関間共有について

先日「自宅療養者の個人情報、34都府県が市町村に伝えず…健康状態の確認など難航」という記事が出た。

記事では神奈川県が市町村への情報提供に積極的な例として書かれ「本人の同意なく迅速に情報を提供している」と書かれている。
今回の私に関する対応で県と市の連携があったかは不明だが(おそらくないか)、個人的には重症化を防ぐために必要な情報共有は柔軟に行ってほしいと思う。

パンデミック下の感染症対策においては、重症化予防のために個人情報の共有ができる仕組みを整えてもよいのではないか。

www.yomiuri.co.jp

・14:00 保健所から紹介されたAクリニックから電話着信。保険証や問診票提出の説明。

Aクリニックの往診時のスマートな初診手続き(保険証と問診票の提出)について

Aクリニックの初診手続きは、
 1. ショートメール(SMS)でAクリニックから本人へメールアドレスが届く。
 2. そのメールアドレスへ保険証の画像を添付して送信。
 3. 送信元(本人の)アドレスにAクリニックからメール本文で問診票項目が届く。
 4. メール本文に問診票を記入して送信。

いたってシンプル。
往診が来る前に初診手続きと病状の説明が完了。とてもスマート。
コロナでなくても医療機関の初診の手続きはこれでよいのでは?と思う。

・17:00 Aクリニック B院長先生往診

Aクリニックの自宅への往診(中等症)について

まず往診到着前に、できるだけ窓を開けて換気をしておくよう指示を受けた。
今回は医師(B先生)と看護師の2名で往診。
到着後、玄関で防護服を着てから入室。

診察は、問診、聴診と、5分程度の点滴、血液検査をするための採血。
診断結果は
 ・肺炎を起こしている。コロナの中等症2。
 ・薬を処方する。今日中に薬局から届けてもらうので市販薬を止めてそれを飲んで。
 ・酸素吸引ができる機械も処方する。今日中に業者に届けてもらう。

そして名刺の裏に以下の指示を書いてくださった。
 ・酸素は2リットル/分に設定して吸入を。
 ・水分補給をよくすること(UberEatsでコンビニの飲み物を買えるから、と言われ、その発想はなかったと気づく)。
 ・肺の背中側が悪くなっているので、1日2時間以上うつ伏せで寝ること。
 ・24時間繋がるクリニックの電話番号。何かあればいつでもかけて。

「若いし基礎疾患もないから乗り切れるから」と励まされ、「もしこれから症状が重くなっちゃっても入院先はまだ空いているから、安心して」とも言われた。感染者ピークの折、地域の医療機関の先生も病床状況の把握をされていることに安心感を覚えた。

帰りはB先生と看護師さんが玄関で防護服を脱衣。大きな半透明ポリ袋に2人分の防護服を入れて玄関に置き、「あとでゴミとして出しておいて」と告げられる。

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往診後に廃棄された防護服

・18:30 Aクリニックの処方を受けた調剤薬局から薬の宅配。
 これを受け取った瞬間に、市販薬ではなく早く医師を頼るべきだったんだと気づく。

 ・レスプレン 20mg 1日4回  咳止め
 ・クリアナール 200mg 1日4回  痰止め
 ・イブプロフェン 100mg 1日4回  鎮痛
 ・カロナール500 1日4回  解熱
 ・ランソプラゾールOD 15mg 1日1回  胃の保護
 ・プレドニン 5mg 1日2回  抗炎症 
  (以下翌日血液検査の結果により追加)
 ・レボフロキサシン 500mg 1日2回  細菌感染症治療

・19:30 Aクリニックの処方を受けた医療機器業者から酸素濃縮装置の宅配。

自宅での酸素濃縮装置の使用について

酸素濃縮装置は、中に酸素が入っているのではなく、空気を取り込んで酸素だけを濃縮して送ってくる機械。小型のストーブくらいの大きさだがめちゃくちゃ重たく、部屋までは転がして運ぶ。

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酸素濃縮装置

吸入量(リットル/分)は医師の処方のとおりに設定されてくる。

業者からチューブの長さをどこで切るかだけ聞かれた。ベッドの隣に置けばよいと思い「2mくらい」と答えたが、後で見たら5〜6mくらい長さがあった。しかし結果的にはこれが幸い。おかげでキッチンなどにも酸素吸入しながら移動できた。

症状が進んで苦しくなってくると一瞬でも酸素を外すのが不安になり、また立ち上がると実際苦しくなるため、チューブはトイレまで行ける長さを確保すると安心だと思う。私はトイレまでは届かなかったため、それに気づいた時はトイレ用にAmazonで登山用の酸素缶を買おうかと考えた。
※ただ、後から知ったことだがコロナ禍で酸素缶の買占めが起こっていたらしい。記事にもあるように一時利用でなければ酸素缶では自宅療養の役には立たない。

dot.asahi.com

 

新型コロナの医療費について

この日の往診、内用薬、酸素濃縮装置の貸出しだけでもかなりの金額がかかっていると思うが、新型コロナの自宅療養にかかる費用は国庫補助で全額公費(都道府県)負担。
自分の場合は、最初から一度も費用を求められることはなかった。

厚生労働省 宿泊療養・自宅療養中の医療費等の取扱いについて

また入院となった場合の入院医療費は、感染症法に基づきやはり全額公費負担。

www.city.kawasaki.jp

ちなみに自分の入院費(19日間)の通常価格は、保険適用の3割負担で約35万円(保険適用前で約120万円、診療明細書の保険点数から推定)。
通常は高額医療費制度や医療費控除により後からさらに負担は減るが、それでも一時的な出費は免れない。これを最初から一度も求められないのは、面倒な事後手続きがなくなる点からも有難かった。

退院後に友人と話した際「いや〜国民の皆様のお陰です」と言ったら「これまで自分が払ってきた分もですけどね 笑」と言われ、そうもそうかと少し気が軽くなった。

自己負担はなくても医療保険社会保障財政に大きな負担を強いることになり自分にも返って来るため、やはり新型コロナの感染や重症化はしない方がいい。
重症化を防ぐためには日頃から重症化リスクを下げておくことが大事で、基礎疾患の予防や肥満の防止が大切だ。と肥満の当事者だった身として思う。

 

新型コロナの民間加入保険の給付金について

従弟から、医療費を自己負担していなくても、民間医療保険に入っていれば、自宅療養や入院中の保険金が出るから忘れず請求するようにとアドバイスがあった。

確かに生命保険各社ともそのような特別措置を取っているようだ。以下はGoogle検索で最上位に出てきたオリックス生命保険の情報。

faq.orixlife.co.jp

往診を受け、大量の薬が届き、酸素濃縮装置まで届いた1日。
中等症2で原則入院扱いのステータスに。
大ごとになってしまったが、これまでと違って医療のコントロール下に入った実感があり、安心感も得た1日だった(勤務先や家族たちへの報告でも安心したを連発していた)。
発症から8日経ったが、療養はまだしばらく続くと、気持ちを切替える。

8/25(水) day9〈中等症2〉
( 8:00のLINE回答値 = 息苦しさ有り / 35.6℃ / 酸素飽和度 91%
発熱、倦怠感、咳。

・5:00 発汗で起きる。酸素のチューブが鼻から外れていて焦る。
焦ると大きく咳込む。咳込むと息が吸えなくて焦る。の悪循環。
咳込んだ時の酸素飽和度は初めて見る88%。深呼吸して92%、うつ伏せ寝で95%へ回復。

・8:00 新しい薬の影響か、朝の体温が急に低くなり驚く。

・14:00 薬が効いているうちは熱も倦怠感もないので、身体が動く時にしっかりしたものを食べようと初めて配食の「五菜セット」をいただく。 

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県からの配食 冷凍「五菜セット」

一度むせて咳をしたら止まらなくなり息が戻らなくなる。深呼吸もできず焦る。下を向いて小刻みな浅い呼吸を優先、マラソンの要領で息を大きく吐きながら呼吸が戻るのを待つ。コロナの苦しさが日常に現れるようになってきた。

・日中: 薬が効いて熱も倦怠感も消えているうちに、これから長引くであろう療養に備えて色々動いた。入浴、溜まっていた洗濯、UberEatsでコンビニの飲料の購入、ベッドに座ってテーブルを使える環境作り。リモート勤務も6時間ほど行い、向こう1週間で納期がくる作業に絞って前倒しで片付けた。無理をしすぎたのかどうか。これらの行動が翌日の急変に影響したかどうかは不明。

8/26(木) day10〈中等症2〉
( 8:00のLINE回答値 = 息苦しさ有り / 37.9℃ / 酸素飽和度 94% )
発熱、倦怠感、咳。

・4:30 高熱で起きる。
・5:00 咳込んで大パニックに。Aクリニックに電話して対応の指示を受ける。

中等症2自宅療養時の呼吸パニックについて

この時の焦りと恐怖は筆舌に尽くし難い。
4:30に高熱で目が覚め、朝の薬の時間までまだあるからもう少し眠って耐えよう、と考えたのが最初。
しかし目が覚めたことで咳が出始める。1つ1つが絶叫のような激しい咳。

息を殺して抑えようとしても心拍数の乱れが咳を引き起こしている印象。身体の向きを変えたり、布団から出ていた足の先を布団に入れて温めるだけで、血の流れが変わって咳が出るイメージ。じっとしているしかないが、この緊張感がストレスになり、ストレスが心拍数を上げて結局咳が出る。
腹の底から出続ける激しい咳なので、咳が出れば息ができない。もっと酸素を吸いたい。

鼻にはカニューレから酸素が2リットル/分送られてきている。酸素吸入装置の設定を上げたくなるがまだ勝手に動かさず、咳をこらえながら止まるのを祈る。

5:00に諦めて前倒しで薬を飲む。

ここでむせて一度涙が出る。咳と涙と一緒に鼻水が出る。鼻水によって鼻から酸素が吸えなくなる。酸素を断たれ息が苦しくなり、恐怖心から涙と鼻水が増える。鼻をかむと余計に呼吸を乱し、息を吸う力が弱まる。
咳が出続ける上に、涙と鼻水で酸素吸入ができなくなり、息苦しさでパニックになった。酸素飽和度は80%台前半。脈拍は200台。

涙を流しながらAクリニックの24時間番号へ電話。
「どうしました〜?」
 「いぎが…でぎだぐで…いば…85バーゼンド…

「苦しいんですか〜?」
 「はい…なびだ…なびだが…はだが…

「脈拍はいくつか分かりますか〜?」
 「にひゃぐ…」
「えっ!?本当に〜?何を見てます〜?」
 「みぎがわ…でてばず…にひゃぐ…」
・・・・・・
 ・・・・・・

電話に出た担当の先生は、ゆっくり落ち着いた声で話を聞き、以下の指示をくれた。
 ・酸素濃縮装置の設定を2リットル/分から最大値(5リットル/分)へ変える。
 ・チューブの先を鼻カニューレから備品の酸素マスクへ変える。
 ・うつ伏せで寝て維持する。

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カニューレ(左)とリザーバーマスク(右)

酸素の増量はもちろん、うつ伏せ寝も効果が大きく楽になった。
うつ伏せだとしっかり眠ることはできないが、もう優先順位は安眠ではない事を理解した。

この時対応してくださった先生は、これ以降も30分おきに私に電話をかけては症状を確認くださり、夜が明けると2回目のB先生の往診を手配してくださった。

うつ伏せ寝 = 腹臥位療法について

うつ伏せ寝は、腹臥位療法といって、呼吸器不全に対する伝統的な治療法のようだ。うつ伏せすることで「背中側の潰れた肺胞が開き、換気機能が復活」するメカニズムだという。
下記の倉原医師の記事によると中等症以下の患者への有効性は未知数らしいが、実感としては短時間のうつ伏せ寝でも症状改善に十分な効果があった。
むしろ中等症の自覚が出る前の軽症時から、肺の背中側の保護のために励行してもよいのではないかと素人ながらに思う。特にデメリットがないのであれば。

toyokeizai.net

news.yahoo.co.jp

咳の音が気になったことについて

ストレスや緊張感が咳を招くと書いたが、ストレスといえば咳の音。

この時はもう乾いた咳ではなく声を伴う咳になっていて、それが腹の底から吐き出され、深夜に絶叫のような咳が止まらなくなる。そこで気になったのが隣への騒音だ。
自宅は角部屋で防音効果も高いが、それでも隣への迷惑がかからないか、不安にさせないか、などが気になった。気になって咳を小さくしようとすればするほど、また呼吸を乱し悪循環になる。
かと言って隣近所へ「私コロナにかかってます」と伝えるのも憚られるので、もし防音効果の比較的低い集合住宅だったらどうするか、と変なことまで考えていた。

できることはバスタオルなどで口を広く覆って気休め程度に音を抑えるくらいか。
通常はこの症状に至ったら入院できていることが望ましく、自宅療養していた第5波ピーク時がいかに異常だったかと改めて思う。

・5:30、6:00、6:30、7:00、7:30、8:00 Aクリニックの24時間対応の先生から病状確認の電話着信。最後の電話でB先生の往診の手配。

・12:00 AクリニックB先生の2回目の往診。立つのがやっとで、換気のために窓を開ける力さえ出なくなっている。
点滴、採血、聴診の後、
入院しよう。県に入院調整の連絡をするので後で県から連絡がくるから。病院への紹介状も書くから。」との診断。

・13:30 神奈川県入院調整係から電話着信。
入院先がC病院に決まった。これから救急車が自宅まで行く。
「救急車は音を鳴らして来ますか?」とだけ聞くと「多分鳴らさない」。
 C病院は市内でも自宅から大きく離れた区の地名がついた病院で、やはり入院先の調整が難しいことを察知。

・14:30 救急隊員が自宅に着。隊員に荷物を持ってもらい、片脇を抱えられ、体重を預けながら救急車に乗り込む。

コロナ救急入院時の荷物について

自分には救急車も入院も経験がなく、救急車到着までに荷物をまとめることに気が回らなかった。

救急車到着後、気は優しくて力持ちそうな3人の男性救急隊員が、部屋まで入って窓を閉めたり酸素濃縮装置の電源を落としたりしてくれながら、早く荷物をまとめるよう告げた。

焦りに任せて手にしたものは、パルスオキシメーター、体温計、薬、下着の替え(退院用の衣類の替えを持たず)、タオル、財布(保険証含む)、スマホと充電器。
ノートPC(勤務用、個人用)を持とうか迷ったが、急いでいる救急隊員の前でコロナで自力で動けずこれから入院しようとしている者がPCを手に取る勇気がなく、止めた。
後から長い入院生活を考えると、これは持つべきだった。

救急搬送が決まってから荷物をまとめるのは難しいので、入院の可能性があると思ったら、荷物をまとめる余裕がある時に念のため以下をまとめて備えておくと良いと思う。
 ・保険証と財布
 ・飲んでいる薬。飲むためではなく医師や薬剤師へ伝えるため
 ・スマホと充電器、あとイヤホン
 ・着替え、タオル、退院時に着る服
 ・歯ブラシ、ウェットティッシュ等のアメニティ
 ・PCや本など、症状回復後のリハビリ期に時間を有効に使うためのもの

・14:40 救急車で移動。
救急車内の酸素濃縮装置につながり、6リットル/分を吸入しながら移動。

・15:30 C病院に到着。
到着後、救急車のストレッチに乗ったまま移動し肺のCTとレントゲンを撮影。息を吸って止めて、と言われても全くできない。
病棟へ移動して採血、酸素吸入(6リットル/分)と心電モニターを開始。点滴治療開始。

入院時の症状と主治医との会話について

主治医は若手のD先生。
簡単な問診のあとD先生から最初に言われた言葉は、
「過剰な免疫反応で肺に炎症が起こっている。体格がよい方は重症化する確率が高い。若くて将来のある方なので何としても救わなければならない。抗生物質ステロイドを標準以上に投与する。院長とも相談して最善の治療をするが、万が一重症化したら、大学病院への転院も積極的に検討する。」

また後から説明を受けた入院時の症状は
 ・両側全肺野の炎症(CTで全体に雲がかかった状態)
 ・不整脈
 ・血液検査の異常
 ・検査結果以上に臨床で、会話ができないほど呼吸が弱くて危ないと思った
とのこと。

中等症2:入院・隔離病棟 8/26〜9/4

入院直後の病状について

病棟は隔離病棟で、医師も看護師も常に防護服を着用。
ベッド(壁)に付属の酸素濃縮装置からチューブで常に酸素吸入。
困ったのは夜眠る時の体勢と、小用(トイレ)。

日中は常にうつ伏せを心がけ、肺の背中側の負担を減らす。実際に息もリズムよくなる。ただ夜眠る時は腕の力を抜くと逆に息ができずに困った。仰向け、横向きでは息が乱れる。

初日は看護師さんが、抱き枕を用意して、身体を動かしてうつ伏せと横向きの中間のような体勢を作ってくださって助かった。背中側を上にしながら全身脱力して呼吸もしやすい完璧な体勢。
以降もこの体勢を再現して眠りたかったが、既に寝返りを打つだけで苦しくなっていた私は自分の力で体勢が作れず、またうわ言のような単語しか発することができなくなっていたため別の看護師さんにも初日の体勢を説明できず、毎晩苦労した。

ベットから動く必要がある唯一の動作は、小用(トイレ)。
ベッドの傍に尿器が用意してあるので酸素吸入をしながら立ち上がるだけで済ませられるのだが、立ち上がって数十秒静止しているだけで酸素飽和度が80%程度に落ちて息が上がり、終えた後はベッドに倒れこんでしばらく動けないほどだった。毎回、途中で倒れたらと恐怖を感じ、勇気を出して立ち上がるまで心の準備に30分くらい要していた。

入院中の点滴、投薬について

点滴治療:
 ・生理食塩水
 ・デキサート1.65mg (抗炎症・免疫抑制ステロイド) 
 ・セフトリアキソンナトリウム静注用1g (抗生物質
 ・ヘパリンNaロック用100単位/mLシリンジ (血栓防止)

投薬治療:
 ・オルミエント錠 4mg 3日 (免疫反応抑制)
 ・デキストロメトルファン臭化水素酸塩錠 15mg 3日 (咳止め)
 ・リン酸コデイン散 1% 2日 (咳止め)
 ・リクシアナOD錠 30mg 8日 (血栓防止)
 ・ランソプラゾールOD錠 15mg 8日 (胃の保護)
 ・ベルソムラ錠 15mg 9日 (睡眠導入)

ほか、血栓防止の弾性ストッキングを24時間履く。

8/27(金) day11〈中等症2〉酸素吸入量6リットル/分
・点滴しながら1日中うつ伏せ寝で過ごす。

・ここから酸素離脱する9/10までの間、移動する時も含めて24時間酸素チューブを鼻につけて酸素吸入しっぱなし。
・夕食から食事の提供開始。丸3日ぶりの食事。主菜副菜全部にご飯1/3ほどを食べる。

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最初の入院食

8/28(土) day12〈中等症2〉酸素吸入量5リットル/分
・採血2回目、肺のレントゲン2回目
・バイタルも血液検査の結果も良化、主治医D先生から「この傾向は良くなる」
・この日から3食提供
・まだ寝返りや、身体を起こす(食事)、立ち上がる(小用時)と息切れ。
・主治医D先生から「どうですか?」と聞かれ「うつ伏せを続けていないと夜も呼吸が乱れるので、姿勢に集中していると30分しか安眠できない」と伝える。「僕がしてあげられるのは睡眠導入剤を出すことくらいですが、出しましょうか」と提案され、処方いただく。

8/29(日) day13〈中等症2〉酸素吸入量5リットル/分
睡眠導入剤が効いて久しぶりによく眠った
・主治医の若手D先生は、話ができない私に代わって実家の両親へ小まめに電話で病状や治療方針を報告してくださった。その様子が親から親族LINEグループに届く。親族一同、D先生の気配りに感激してファンになっていった。
・3食完食
・寝返り、食事は息切れがなくなった。立ち上がる(小用時)と息切れ。
・事前に片付けていた仕事が先週までのものだったので、明日以降の作業調整をスマホで勤務先と行う。PCを持って来れば短時間でも接続できたのにと後悔し始める。

8/30(月) day14〈中等症2〉酸素吸入量4リットル/分
・採血3回目、肺のレントゲン3回目

8/31(火) day15〈中等症2〉酸素吸入量4リットル/分
・発熱、倦怠感、痛みなどはなくなった。あとは自力呼吸のみ。

9/1(水) day16〈中等症2〉酸素吸入量4リットル/分
・主治医D先生から「もう悪くはならない、ゴールが見えてきた」

9/2(木) day17〈中等症2〉酸素吸入量3リットル/分
・採血4回目、肺のレントゲン4回目
・隔離解除。隔離病棟内で個室から一般病室へ移動。
・リハビリが開始。自力で呼吸をして日常生活を送れるようにするためのものだが、この日は酸素吸入をしたまま背中側横隔膜のマッサージのみ。

9/3(金) day18〈中等症2〉酸素吸入量2リットル/分
・尿器の使用をやめ、歩いてトイレへ行くことを開始。ただしその際は病室の酸素吸入装置から酸素ボンベにつなぎ換えて、チューブは鼻につけたままボンベを転がしながら行く。
・酸素吸入量の設定が日毎に少なくなっている。この頃の設定は、快方に向かわせるために酸素吸入の量を落としたい看護師さんと、まだ怖くて酸素の量を落としたくない私とのせめぎ合い。しかしもちろん看護師さんが強い。
・リハビリで病室内を歩行。

9/4(土) day19〈中等症2〉酸素吸入量1リットル/分
・点滴治療終了
・リハビリで隔離病棟の廊下を1往復(酸素ボンベを持ってもらいながら)。慌てるとすぐ息が切れるのでものすごくゆっくりと。自力で病室の外へ出ること自体が大冒険で、歩けたことが自信になった。
・入院後初めての入浴、シャワーのみ(酸素ボンベを持ち込みながら)。

長いリハビリ:入院・一般病棟 9/5〜9/13

9/5(日) day21〈リハビリ〉酸素吸入量1リットル/分
・隔離病棟から一般病棟へ移動。
・看護師さんが防護服ではなくナース服になり、表情も朗らか。冗談も言う。私への話し方も丁寧で、急病人でなく1人の大人として扱われている感じ。部屋も明るい。フロアが変わっただけなのに急激に環境が変化し、急性期を脱した実感を得た(逆に隔離病棟がどれだけ厳しい環境であるかも改めて実感した)。連続ドラマの中盤で急に場面や生活環境や登場人物が変わったような、次章に突入したかのような感覚(伝わりますか?)。
・ベッド(壁)の酸素濃縮器と鼻をチューブで繋いで24時間酸素吸入は変わらず。
・病院の事務スタッフとも初対面。ようやく入院手続を入院日の8/26に遡って実施。腕に力が入らずうまく字が書けない。
・酸素飽和度93%前後。酸素吸入量をなくした上で酸素飽和度96%以上を維持できれば退院。仕事も気になるので今週中の退院をイメージする。しかしここからが長かった。

9/6(月) day22〈リハビリ〉酸素吸入量1リットル/分
・入院時に不整脈があったため、急性期の一時的なものであることを確認するための心電図検査と心臓超音波検査。
・看護師が酸素のチューブの長さを足して、病室内を歩けるようにしてくれた。チューブは24時間鼻に繋がっている。
・退院に向け妹に衣服を届けてもらう(面会はコロナ禍で一律禁止)。

9/7(火) day23〈リハビリ〉酸素吸入量1リットル/分
・身体は動くようになっているがなかなか酸素飽和度が上がらない。酸素を吸いながらうつ伏せ寝で94%、座位で92%、歩くと80%台。
・発病から3週間が経ち、仕事にいつ戻れるかが気になるようになってきた。少しでも身体を慣らしたくて日中は座って過ごした。主治医D先生は「そんな、ちゃんとしてないで、寝てていいですからね」と言ってくださる。私から「身体を慣らしていきたいので起きられる時は起きています」と伝える。

9/8(水) day24〈リハビリ〉酸素吸入量1リットル/分
・心電図検査と心臓超音波検査の続きの「脈波図、心機図、ポリグラフ検査」。
・酸素飽和度は上がらない。

・息が続かず会話が難しい。ゆっくり歩く時よりも看護師さんに体調を伝える時の方が息が乱れることに、この日に気づく。
・リハビリ(酸素を鼻に繋ぎながら)で歩く距離は増えている。
・リハビリの時間以外は暇すぎるので、スマホで罹患中の記録を整理して文章化。このページの文章はだいたいこの頃に書かれたもの
・看護師さんやリハビリスタッフの方は、まだ退院は先だと仰るが、主治医D先生は私が家での在宅ワークに復帰したがっていることを理解して、いろんなトライを許容してくださっている。

9/9(木) day25〈リハビリ〉酸素吸入量1リットル/分
・循環器内科の先生から今週の一連の不整脈再検査の結果を伺う。「異常なし」。
・酸素飽和度は上がらない。

・初めてリハビリ室へ行き、筋トレや階段の上り下り。もちろん酸素ボンベからチューブを鼻に繋いだままで。明日は初めて病院の外まで歩く。
・主治医D先生へ、動けていることをアピール。「明日1日酸素なしで過ごしてみましょうか」と言われる!

9/10(金) day26〈リハビリ〉酸素離脱
・酸素離脱。8/24以来16日ぶりに鼻が酸素吸入チューブから離れた自由な身に。
・リハビリで屋外を散歩(酸素なし)。酸素飽和度は80台へ大きく低下。勝手に今日問題がなければ退院だというテストのような気持ちで臨んだが、まだまだそんな段階ではなかった。
・自由になったので病棟内の廊下を酸素なしで1人で歩行。息が乱れないペースでゆっくり歩けば酸素飽和度93%程度を保てることを発見。

9/11(土) day27〈リハビリ〉
・酸素飽和度は96%に達しない。しかし93%を保ってゆっくり歩ける。
・主治医D先生へ昨日今日の酸素なしでの行動を報告。「退院に向けてイメージを合わせましょうか」と言われる。少し強行感はあるが、最短9/13にCTを撮って問題がなければ退院で合意した。

9/12(日) day28〈リハビリ〉
・酸素飽和度は96%に達しない。
・明日の退院予定に向け、一番気を緩めてはいけないタイミング。この日は身体慣らしよりも努めて安静に過ごした。

9/13(月) day29〈リハビリ〉
・酸素飽和度は96%に達しないが酸素離脱後問題がなかったため退院が決定。
・退院後の経過観察用にCTを撮影。
・退院手続書類が9/5に比べて普通に書けて、回復を実感。

・3路線を乗り継いで電車で帰宅。乗換え時のスロープや階段では息が切れ、休憩を入れながら移動。途中で外食し新鮮な魚を食べられたのが嬉しかった。帰宅後爆睡。

後遺症?:退院後 9/13〜

退院後は通院も服薬もなし。経過を看るために6週後の10月下旬に外来予定。

9/13(月) 〜 9/19(日) day30〜37 退院後1週目
・起床時の酸素飽和度は概ね93%。

・退院翌日の9/14から自宅でリモート勤務をフルタイム(9:30〜18:00)で実施。
 勤務先の配慮があり、自分のペースで休みながらできる個人作業から。

・週前半は徒歩で片道10分ほどの買物をすると、帰り道の途中で息が切れて休憩が必要になる状態。
 週後半は同じ買物を休憩なしで行って来られる状態に。

・週前半は会話が困難。電話をしても文節ごとに息が切れ、スムーズに会話はできない状態。
 金曜日には会話能力が少し戻り、30分オンライン会議に出席できる状態に。

9/20(月) 〜 9/26(日) day38〜45 退院後2週目
・起床時の酸素飽和度は概ね93〜95%。

・平日は引き続き自宅でリモート勤務をフルタイム(9:30〜18:00)で実施。
AクリニックとC病院の先生、スタッフの皆さまへお礼の手紙執筆。
 入院中は話す力がなくお世話になった方々へお礼が伝えられなかったので。

・9/26(日)に退院後初めて電車に乗って別の駅まで移動。
 百貨店で菓子詰を選びお礼の手紙とともに発送。

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お礼の言葉たち

9/27(月) 〜 10/3(日) day46〜52 退院後3週目
・起床時の酸素飽和度は概ね95%。

9/30(木)に一時的に酸素飽和度96%、10/1(金)に瞬間最大97%を記録。

・10/2(土)に3.5kmのウォーキング。
 鼻だけでゆっくり呼吸しながら楽に歩き続けられる速度で。
 所要1時間15分。久しぶりに脚を使い、ふくらはぎがパンパンになった。
 歩行中の酸素飽和度は概ね92%。

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ウォーキング中の景色

10/4(月) 〜 10/10(日) day53〜59 退院後4週目
・起床時の酸素飽和度は概ね95%。
・日中の酸素飽和度は96%が頻繁になり、10/9(金)に瞬間最大98%を記録。

・重いものが持てるようになった。5kgの米を買って持って帰れた。

・10/10(土)に5kmのウォーキング。初めて1万歩達成。
 ただし公園内の丘を登る緩い段状の路では20段ほどで息が上がって休憩が必要になる。階段や坂道はまだきつい。
 歩行中の酸素飽和度は概ね92%〜93%。

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ウォーキング中の風景

10/11(月) 〜 10/17(日) day60〜66 退院後5週目
・起床時の酸素飽和度は概ね96%。
・日中は安静時96〜98%。早歩きなどで脈が上がると93〜94%。
・肺一杯に深呼吸をしても咳が出なくなった(違和感はあり)。

10/18(月) 〜 10/24(日) day67〜73 退院後6週目
・起床時の酸素飽和度は概ね96%。
・10/18(月) 衆議院議員選公示。神奈川療養サポートのLINEが久しぶりに動き、自宅療養者の投票の案内あり。

自宅・宿泊療養中に行われる選挙の投票について

LINEから以下の案内が届いたので紹介(感染中で自宅・宿泊療養中の人だけが対象)。

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www.city.kawasaki.jp

10/23(土) 退院後最初の外来で経過確認。
・入院していたC病院の外来へ。
・CTで良化を確認。退院日にまだ白い雲がかかっていた肺が、真っ黒(影なし)になっていた。退院後の呼吸の状態を報告。味覚嗅覚異常、倦怠感、ブレインフォグもないことを確認し。今回で経過確認終了。
・「完治です」と言われ、D先生と握手でお別れ。

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C病院近くの遊歩道

完治後のこと 10/24〜

11/8(月) 罹患後初めて会社へ通勤
・11/8は全国の新規陽性者数194人、陽性率0.4。感染状況が収まってきた中、勤務先ではリモート勤務とオフィス勤務の「ベストミックス」を探る方針に。89日ぶり、罹患後は初めて会社へ出勤。
・2路線を乗り継ぎ片道1時間強の通勤だったが、息切れ等も発生せず問題なく勤務できた。

12/21(火)「感染症入院患者医療費公費負担承認決定通知書」が届く
・12月15日付の川崎市の決定書。すっかり公費負担で片付いているものかと思っていたが…。厳密にはまだ決まっていなかったとは…。感染者数も多くて書類の審査にも時間を要しているのですね。

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感染症入院患者医療費公費負担承認決定通知書

1/3 (月) フィットネスクラブ入会
・肥満が夏の罹患での中等症化を引き起こした可能性があることを反省し、というか体力も生活習慣も外出自粛前のレベルに戻していくため、お年玉入会キャンペーンに乗ってフィットネスに入会。

1/7 (金) ワクチン接種1回目
・入院前、自宅療養中に往診に来ていただいたAクリニックをかかりつけ医としてワクチン接種の相談をしたところ、未接種者が少ないため今は月1回の接種枠(1回目=第1金曜日、2回目=第4金曜日)のみで受けているとのこと。
・感染歴有者は治療から90日間空けることが推奨されているため1月の枠で接種予約した。
・感染歴有者に副反応が出る頻度は、感染歴がない人に比べて4.59倍(1回目)とのことで心配していたが、注射を打った左腕の痛みと若干の倦怠感くらいで事なきを得た。

感染歴がある人のワクチン接種について

厚生労働省のQAによると、新型コロナウイルスに感染したことがある人もワクチンを接種することができる。・米国CDCはワクチンの接種は治療から90日間空けることを推奨している。しかし本人が希望すれば90日間空けず速やかに接種することが可能。

www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp

 山中伸弥教授のサイトによると、感染歴がある人の副反応出現頻度は、1回目接種後が感染歴がない人の4.59倍。2回目接種後は感染歴がない人の0.60倍。

www.covid19-yamanaka.com

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副反応が出た時用に揃えた流動食たちは使用せずに済んだ

1/28 (金) ワクチン接種2回目
・Aクリニックで2回目の接種完了。
・接種を担当してくださった看護師さんは、夏の往診の時の様子もご存知で「2回目まで打てるようになって本当に良かったですね〜。お手紙もありがとうございました。励みになりました。」と声かけくださった。
・1回目の接種以降、オミクロン株の流行で感染者数が急激に増加し、多くの都道府県でまん延防止等重点措置が適用されている。Aクリニックでも、再び往診の回数が増えているとのこと。これまでに比べ心肺機能への影響は少ないが、高齢者が高熱により衰弱するケースが多いとのこと。


罹患の記録は以上です。(たまに更新中)

こうした方がよいと思うこと

実感ベースで綴ります。※本記事はデルタ株の治療直後に書いたものです。

感染していない時

・基本的な感染対策(マスク、消毒、換気、距離確保 + ワクチン接種)
・飲食料品や日用品の備蓄(コロナ感染時ではなく自然災害時用の備蓄として再確認、万が一コロナに感染したらそれを使用する考え方がよい)
・適度な運動(肥満防止、ストレス解消)

肥満リスクについて:

第5波明けくらいの時期から肥満と重症化の相関が公に示されるようになった。大阪府ではBMI 30以上を重症化リスクの高い肥満として優先接種の対象に加えた。

私は丸1年前から家に篭る生活リズムになってしまい、1年で体重を10kg増やしてしまって(元々増減が大きいタイプ)、感染時のBMIはほぼ30に近かった。太り過ぎると標準体型時より心肺への負荷が大きくなるのは感覚的に分かる。さらに運動不足で心肺機能が少しずつ衰え、またストレスによる免疫低下にも繋がっていく。これらのことが中等症化に影響したのではないかと思っている。

肥満の重症化リスクは若年層にも存在する。肥満は基礎疾患や喫煙歴とは異なり、今から解決することが可能だ。特にBMI 30付近〜以上の人は生活習慣を見直し、BMIを下げることがコロナの重症化予防に直結する。

www.asahi.com

www.fnn.jp

 

軽症時(発症直後〜熱や痛み)

・7日後に治るか中等症に進むかの分岐点があることを自覚し、万が一でも中等症になった時の想定をして家族や職場等に連絡しておく。

・病状や服薬等の治療の記録を残しておく。コロナでは様々な医師、保健師、薬剤師に関わる可能性があり、記録があると経過説明が楽になる。家族や職場等にも事実を並べて報告するのがよい。

・行政や保健所とのコミュニケーションは取れるだけ取る。定期報告(神奈川のLINE等)がある場合は必ず報告。↑参考

・発熱等の症状があれば、保健所に薬の処方を依頼する。市販薬より強い薬を服用でき体力低下を防げる。また電話診断であっても医師と繋がれる機会は大きい。↑参考 自宅療養中の医療費は公費負担なので出費は心配しなくてよい。↑参考

・市販薬を飲んでいる場合、用法を多少オーバーしても症状を治めることを優先。↑参考

・飲料や日用品の買い物はAmazonやUberEatsを活用。「置き配」指定で。

・念のため、1日2時間程度うつ伏せで寝る。↑参考

 

中等症時(咳込みや酸素飽和度低下)

・深夜などに咳の音の大きさが気になることがある。気休めかもしれないがバスタオルで口を覆うなどの対策をしてストレスを防ぐ。↑参考

・万が一入院することになった時に備え荷物を準備しておく。↑参考

・酸素飽和度が93%以下になったらすぐ保健所へ入院を希望する。最初は息苦しい自覚はないが、病室でケアを受けるに値する症状。実感として、災害時と同じようにコロナ罹患でも正常化バイアスがかかる可能性がある。症状に慣れないこと。

・自宅で酸素吸入する場合、チューブは家中を動けるくらい長めに。またマスクの種類や装置の設定変更方法を聞いておく。↑参考

・可能な限りうつ伏せで寝る。↑参考

 

入院時

・予め準備した荷物を持っていく。↑参考

・あとは入院先の医師やスタッフの指示に従う。

 

自宅療養終了後・退院後

・民間医療保険(生命保険の特約等も)に加入している場合は、給付金が出る可能性があるので保険会社へ問い合わせる。↑参考

・家族や勤務先などにできることできないことをはっきり伝える。少し安全サイドに。